紡ぐ〜夫婦純愛物語〜
翌朝、早朝から屋敷内はバタバタとしていた。

7時頃に、部屋の扉をノックする音が聞こえ藤枝が入ってきた。

「お嬢様、いよいよですね。」
藤枝が、笑顔で言った。

「ええ、そうね。私の緊張とは、裏腹に皆は随分と楽しそう。」
肩をすくめて言うと、藤枝は仕事をしながらも
「みんな、お嬢様の晴れの日を最高の日にしたいんですよ。」と、嬉しいことを言ってくれた。

洗顔を済ませると、何時もは朝食なんだけど今日は簡単に部屋で済ませ、藤枝以外のメイドたちも手伝ってくれながら私の花嫁としての、準備が始まった。

家を出るときに着る白無垢は、藤田屋に代々受け継がれている、屋号の入ったものだ。さすが、呉服屋と言うかしっかりとした生地を使っているし、糸で飛んでいる鶴が刺繍されていてとても、きれいだ。

本来なら日が暮れてから、祝言をあげるのが基本なのだが、今時そんな事を気にする人は士族や華族くらいではないだろうか。

商人である、私達にはあまり正式さにはこだわらない。いかに、華やかにやれるかが大切なのだと商人らしく父も言っていた。

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