隠れ蓑〜Another story〜
「晶帆、、山口さんの嘘泣きに騙されるなよ。晶帆が異動する事はもう決定事項だ。ここの後任も決まってる。だからいい加減、諦めなよ、山口さん。」
不機嫌なオーラを隠す事もなく、低い声で言い放った津川さん。
あの事件以来、津川さんの態度が一変した。
女子に優しかった津川さんが、先輩以外の女には素っ気ない態度を取るようになった。
今までの津川さんは、先輩によく見られようとして先輩の前だけ女子に優しかったのだ。
だから彼を昔から知る人物曰く、これが本来の津川 圭の姿らしい。
私も随分と騙されていた。
威圧的なオーラでこちらを睨みつけてくる津川さんに負けじと睨み返す。
「いくら人事部長だからってこんなやり方横暴です!!先輩以外に適任な受付嬢なんていませんっ!!!それは津川さんが1番ご存知ではないですか?!」
「適任かなんて、そんなのどうでも良い。本当なら会社は辞めさせて俺の部屋に閉じ込めておきたいのを譲歩して部署異動だ。」