恋愛初心者です、お手柔らかに?
顔を上げたら、きっと齋藤君と完全に目が合ってしまう。
そんな事になったら、私は地蔵になってしまうだろう。うん、きっと…必ず。

上げれない、でも視線は感じる…どうしたらいいの?

「永山さん…」

沈黙を破り齋藤君が話しかけてきた。

ここで無視するわけにもいかない、かと言って顔を上げたら!!!!

「ん?な、何?どうしたの?」

私は自然を装いながら、視線を齋藤君から外して顔を上げた。

「あの…俺…」

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

2人の間に携帯の着信音が流れた。

「あ、すみません…」

「出なよ。急ぎの用かもしれないでしょ?」

「は、はい。すみません…。もしもし…」

もしもしと言いながら、齋藤君はテーブルから離れて行った。
それを目で追いながら、私はホッとしていた。

「た、助かった。あの電話がなかったら、ヤバかったよね…」


私に背を向けるように電話に出た齋藤君を見つめていた私は、やっぱりかっこいいな、でもそれだけじゃないんだよな、なんて思っていた。
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