恋愛初心者です、お手柔らかに？

「あ、あの…永山さんの好きな人って…」

「え？何？齋藤君は知らなくていいことだから！」

齋藤君も気になるようで、しきりに私の好きな人が誰なのかを聞こうとしていた。

言える訳ないじゃない。
本人目の前にしてなんて。

そのやり取りすらも、涼子ちゃんがニヤニヤと笑いながら見ていた。

もう！
こんな所でバラされたら私、仕事出来ないって。

「ただいまぁ」

「あ、帰ってきた。おかえりなさい」

旦那さんが帰ってきたのか、涼子ちゃんが玄関に走って行った。

「こんにちは。涼子がいつもお世話になってます。夫の広樹です」

そう言って、リビングに入ってきた涼子ちゃんの旦那さんである広樹さんが頭を下げた。

「あ、こちらこそ。涼子ちゃんにはいろいろと私の方がお世話になりました」

「いえいえ、結婚式の時は披露宴いらっしゃらなかったですもんね。今日はゆっくりして行ってくださいね。あ、悠は早く帰れよ」

「ちょ、何言ってんだよ。広樹」

「ふふふっ、同級生っていいですね」


「あ、授乳の時間だわ。広樹、ごめん」

「あぁ。俺ら、買い物に行ってくるわ。行くぞ、悠」

広樹さんはそう言うと、齋藤君を無理矢理外へと連れ出した。