恋愛初心者です、お手柔らかに?
「きゃー、な、な、なんでっ!痛っ」

どアップの齋藤君にびっくりした私は、飛び起きようとして、自分が出した声が頭に響き、また頭を抱えていた。

「…っ、おはよう。永山さん」

「あはは、おはよう…齋藤君…これは…」

「……ん、?覚えてないんですか?」

頭がパニックになっている私に、齋藤君はゆっくり体を起こし頭を掻いていた。

「…っ、記憶にございません」

ダメだ。
どこかの政治家みたいなセリフになってる。
でも、でも、記憶ないって!!
あ!服!
慌てて、布団の中を覗いた。

なんで…

がっつり着てるじゃない。

い、いや、そこ、がっかりするところじゃないし!

「ハハッ、永山さん。俺、酔って寝てる人に手は出しませんよ。そこは起きてる時じゃないと」

横で慌てふためいている私に、齋藤君は優しく笑った。

手は出さないか、普通当たり前の話なんだけど、そこでがっかりしてる私って?

「だけど…永山さん。俺の言ったことまで忘れましたか?」

「へ、言った事…?」

何言ったの?

まさか…ね?
好きですって…あれ?

あれって、本当に言ってたの?

「ダメですね…お酒に飲まれちゃ」

そう言うと、固まってる私に顔を近づけキスをした。

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