恋愛初心者です、お手柔らかに?
「あ、あの和己さん?」

電話を切った和己さんが、私に向き直った。

「絢、ちゃんとしろよ?慰め役は俺と茉耶がいるから。分かったな?」

「え?は、はい?」

「そうそう。いい加減、オトナの女になりなさいよ」

「へ?茉耶さんまで、何?」

ピンポーン

「え?誰?」

いきなりチャイムが鳴った。驚いていると茉耶さんが立ち上がった。

「私が行くから」

「え?茉耶さん?」

茉耶さんは私に座っててと、手で合図すると、玄関に向かった。

「来たわね、入って」

茉耶さんが、誰かを迎え入れたのが分かったけれど、姿が見えず誰が来たのか分からなかった。
さぁ、どうぞ、と茉耶さんにまで連れてこられた人物を見て、私は言葉が出なかった。

「じゃ、私達は帰るわね。後はよろしくね、齋藤君」

「齋藤、ちゃんと話しろよ?この借りは返せよ」

「はいっ、ありがとうございました」

齋藤君の肩を叩いて、2人は帰って行った。

「す、座って…」

私は立っていた齋藤君にソファに座るよう声をかけ、コーヒーを淹れようと立ち上がった。

「待って下さい」

え…

キッチンに行こうとした私の腕を、齋藤君が掴んだ。

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