恋愛初心者です、お手柔らかに?
キスされてる。

夢にまで見た…齋藤君とのキス。
この間のキスとは違う、思いが通じあったキス。


私は目を閉じ、その想いを受け止めるだけで精一杯になっていた。



「あの…齋藤君…」


静かな時間が流れていた。
私達だけ、2人っきりの時間。

重ねていた唇を離した齋藤君に、私は声をかけた。

「その…齋藤君ってもうやめませんか?って言うか、敬語やめますよ」

「あ、うん。でも齋藤…」

齋藤君と言おうとして、人差し指で口を押さえられた。

「悠、齋藤悠。俺の名前忘れた?」

「あ、あの…」

言えるわけないよ…
今まで片思いが長かった上に、いきなり両思いだからって、悠って呼べなんて。

無理に決まってんじゃん!

「…っ、ゆ、ゆ…あー無理だから、ごめん」

「なんで?俺なんて、ずっと絢って呼びたかったのに」

しれっと私を呼び捨てに呼んだ齋藤君。呼びたかったのに?

なんですって?

「いや、無理だって…ハードル高すぎでしょ!」

「いや、高くないって。ほら、悠って呼んで」

私の前にいるのは子供か?
駄々っ子のように、私を上目遣いに見つめてくる齋藤君に翻弄されていた。
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