恋愛初心者です、お手柔らかに?
「も、もう出来たんですか?早くないですか?」

「え?あぁ。齋藤君が担当する前の白石さんが担当してる時から、私がやってたの。だから、だいたいの元は出来てあるから早かっただけよ」

「それにしても…早すぎでしょ。まだ出来てないと思って…」

「出来てないと思って?どうしたの?」

急に言葉を濁した齋藤君に、聞き直すもそれ以上は何も言わなかった。
そして、見積書を見て一言。

「言うことないです。これ、明日持って行きます。ありがとうございました」

頭を下げる齋藤君に、そんな当たり前の事じゃないの、と声をかけた私。

「何部いるの?セットしておくわ」

「じゃ、5部お願いします」

「分かった、お疲れ様。気をつけて帰ってね。わざわざありがとう」

「なんで…」

「ん?どうしたの?」

パソコンに向き合う私は、齋藤君がこっちを向いて下さい、と近づいていた事に気づいていなかった。

「え?ち、近い…」

「あぁ、そうですか。って帰る訳ないでしょ。ご飯でも食べに行きませんか?」

「へ?私と?」




私は夢を見ているのか…
気がついたら、目の前に齋藤君が座っている。
ここは、雑誌でも紹介された事のあるオシャレなレストラン。
いつかは、彼氏と来たいなぁ、なんて夢に見ていたけれど、どうして齋藤君と?

「怒ってるんですか?」

「な、なんで?」

「いや、黙ってるから。強引でしたか?」

「いや、いやいや…そんな…」

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