恋愛初心者です、お手柔らかに?
「カッコいい…」
「ね?そうでしょ。絢も見る目あるじゃない。彼、人事部に来ないかな…」
そんな話をしていると私は、一人の女子社員の姿が目に入った。
あ、あの子。
緊張のせいか顔つきが険しくなっているのが、分かった。
そして、それが緊張のせいじゃないと確信した。
ダメだ、顔が真っ青になってきているのが、分かったから。
すぐに横にいた茉耶さんに声をかけた。
「茉耶さん、あの子…」
「ん?あ、あぁ。辛そうね、医務室行った方がいいかも」
茉耶さんから、そう言われた私は、すぐ行動に移した。
具合の悪くなった女子社員の横に腰をかがめて近づき声をかけた。
「大丈夫?ちょっと医務室に行こうか?」
「え、あ…」
返事を返すのも辛いのか、なかなか次の言葉が出ないようだった。
私が声をかけているの間に、茉耶さんが部長に話をしてくれていて、目で合図を送ってくれた。
「まだ話は続くから、一旦横になりましょう。大丈夫、仕事に影響はしないから。体の方が大事だからね」
そう言って、彼女を立たせた私は、みんなの視線を浴びながら、医務室へと向かった。