恋愛初心者です、お手柔らかに?
「あ、白石課長。ど、どうぞ」

「どこもいっぱいでね、失礼するよ。」

そう言うと、白石課長は私の横に座った。


「なんの話をしていたんだい?」

「えっ?な、何って…」

齋藤くんと付き合ってるって思われて嫌味言われましたなんて、白石課長課長に言える訳もなく、返事に困っていると、

「白石課長もひどいと思いませんか?ヤキモチ妬いて嫌味言うなんて」

「え…、く、倉橋さん?」

倉橋さんが、それはどう言う事?と聞き返した白石課長に、止める間もなく今朝の話をしてしまっていた。

あー言っちゃったよ。
白石課長も驚いていた。そりゃそうよね、昨日の齋藤君の話じゃ、齋藤君も私の事が好きだって白石課長に知られてるって言ってたし。二人で出かけたって話を聞いちゃったんだから。

「そうか…ま、永山も気にするな」

「えー、それだけですかぁ?白石課長からも注意して下さいよ。浜田さんのミスのフォローほとんど永山さんがやってるんですよ」

もういいよ、と言いそうになった私を、白石課長がそれを遮った。

「分かってるよ、それぐらいの事は。倉橋も心配しなくても大丈夫だ。永山のフォローは俺がするから」

「よかったぁ、それでこそ白石課長です!あ、私、人事部に用事があるので、ここで失礼します。永山さん、すみません」

え、あ、と呼び止める暇もない程に、倉橋さんは席を立って行った。


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