恋愛初心者です、お手柔らかに?
「まだ好きなんだ…」

そう白石課長から聞かされた私は、どう答えていいのか分からなかった。

白石課長は、困らせる気はない。ただその気持ちだけは、知っていて、ほしいと言った。

「片思いの相手には好きだって言えたのか?」

ガチャン

「あ…す、すみません。な、なんで…」

私は持っていたフォークを落としてしまった。

白石課長は、いいよとスタッフを呼び、新しいフォークと交換してくれた。

「なんで知ってる?って言いたいみたいだけど、永山が俺に言ったんだよ?あの日。好きな人がいるからごめんなさいって」

顔から火が出そうだった。
そうだ、片思いの相手がいるから、って断ったんだ。
そんなら事覚えていたんだ。

恥ずかしい…ただそれだけだった。

「東京に戻れるって分かった時に、永山がまだ一人か同期に聞いたら一人だって言うし、ちょっと安心したんだ、これでも…」

白石課長が、何を喋ったのか途中から分からなくなっていた。

そうだ、あの時、告白された時、断る為に社内に好きな人がいるって私言ったんだ。


どう言い訳するか…それだけ考えていた。




< 94 / 125 >

この作品をシェア

pagetop