恋愛初心者です、お手柔らかに?
「…で、君は告白したのかい?」

「えっ!あ、あの…」

しどろもどろになり、言葉に詰まる私を見て白石課長は言った。

「まだ言ってないのか…?そうか…」

焦っている私を見て、まだ気持ちを伝えられていないと思ったのか、白石課長は少し安心しているように見えた。


それから、仕事の話をしたりして帰ったのは、夜も遅くなってからだった。

「今日はありがとう。また飲みにでも行こうな、俺の言った事、深く悩まないでくれよ?気持ちだけ伝えたかっただけだから」

「は、はい。おやすみなさい。ありがとうございました」


送ってもらったタクシーを降りた私は、お礼を言いながら頭を下げた。
白石課長が乗ったタクシーが見えなくなるまで、私は眺めていた。


「どこ、行ってたの?」

「え?」

振り返ると齋藤君が立っていた。

「何度も電話したけど?」

え、と慌ててカバンの中にある携帯を取り出した。

「あ…」

着信15件

バイブにしていて気付かなかった。

「今の白石課長だよな?今まで二人で?」

「え、あ…あの」


ジリジリと私との間を詰めてくる齋藤君に、返す言葉がなかった。

怒ってる。
連絡が取れなかった事、気をつけて、二人っきりにならないでと、言っていたのに、遅くまで二人でいた事。

昨日気になった事もあって、私の心も限界までだったのかもしれない。だから白石課長の誘いも断れなかったのかもしれない。
でも、それは言い訳に過ぎない。


「俺の話聞いてる?嫌だって言ったよね?」

「ごめんなさい」

それしか言えなかった。
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