恋愛初心者です、お手柔らかに?
「おはようござい…え?」

「あ、倉橋…さん…おはよう…ゴホッ」

会社に着き、後ろから声をかけてきた倉橋さんが、私の姿を見てびっくりしていた。

マスク姿に、鼻声なもんだから。

「ちょ…大丈夫ですか?熱は?」

「だ、大丈夫よ。ゴホッゴホッ…クスリ飲んで来てるから。移したら悪いから、近寄らない方がいい…よ」

外に出た事もあり、体温が上がってきているのか、咳が止まらなくなる。

あ、だめだ。

息が上手く出来ない…

小さい頃、小児喘息だった私は、治った今でも、風邪ひくと咳が止まらなくなって、呼吸が上手く出来なくなる時があった。

だめだと、思えば思うほど…咳はひどくなっていた。

心配した倉橋さんが私の背中をさすってくれていた。

「大丈夫か?」

「あ、白石課長!永山さんが…」

会社の前のベンチに、座り込んでいた私達を見つけた白石課長が、心配そうに私を覗き込んでいた。

「だ、大丈夫…ゴホッゴホッ…です」

大丈夫と言ったけれど、思うように咳は止まらない。

落ち着いて、絢。
焦っちゃだめ。
自分に言い聞かせ、呼吸を整えた。

でも、すればするほど咳は止まらなかった。

「とりあえず、会社に入ろうか…」

そう言うと。白石課長が、私を抱き抱えようとした。
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