捕まえました。
『古川く〜ん!もうっ、何してんの!ホテル行くよ〜』

受話器からは少し遠めだが、至近距離から話しかけているような声だ。

「あ、悪いっ。すぐ行く ……結衣さん、すみません。また掛けますね」

じゃあまた。と彼から電話が切れた。




チクッ

胸に針が刺さったような感覚。

これは仕事。そして彼女は同じ職場の人。

ただそれだけなのに。

私の心はなぜか痛んだ。
< 156 / 157 >

この作品をシェア

pagetop