君と僕のキセキ
手元の石を見つめる。
僕と伊澄を引き合わせたお守りからは、出会った頃に纏っていた輝きは失われていた。明るい場所ではわからないほどの微弱な光は、徐々に消えていく僕と伊澄の記憶を象徴しているようで、思わず僕は両手で強くその光源を握り締めた。
やっぱり、このままじゃ嫌だ。僕は、握り締めた石に向かって問いかける。
「また明日、会えるよね?」
しっかり届くように、大きめの声で。
〈明日は、明李さんとご飯でしょ?〉
伊澄のレスポンスは冷たい声。もう私に関わらないで。そう言われているような気さえした。
「あ、うん。でも……」
伊澄のことが心配で、なんて言ったら、きっと彼女は大丈夫だと答える。
〈それじゃ〉
結局、二人の間に生まれた不穏な空気を払拭できないまま、僕たちは通話を終えた。
臆病な僕の背中を押し続けてくれていた伊澄に、今は肩を掴んで引き留められている。
その手を振り切って、僕は進んでいいのだろうか。
伊澄は何かに苦しんでいる。それだけはわかった。
しかし、その正体がまったく見えてこない。
一体、彼女に何があったのだろうか。どうして教えてくれないのだろうか。
彼女に不満が募っていたし、それ以上に、あまりにも無力な自分に対して苛立ちを感じていた。