君と僕のキセキ
「あっ……えーと」こんなときは、何を言えばいいのだろう。「よ、よろしくお願いします」
先ほどとはまた違った緊張に襲われていた。
「こちらこそ」
なんだか恥ずかしいような、くすぐったいような、そんな感覚。明李さんの方をチラッと見ると、陶器のような肌が少し赤みを帯びていた。
何を話せばいいかわからなくなって、僕たちは黙り込んだ。
その沈黙すらも愛おしい。
これから先、どうなるのかはまだわからないけれど、今できる全力で、明李さんを大事にしようと思った。
そして、僕がこんなに勇気を出せたのは伊澄のおかげに他ならない。
高校三年生のときの、あの日のことを思い出す。
夜空を一閃する一筋の光に魅せられ、その輝きを追って出会った石に、僕は不思議な運命を感じた。
きっと今日のこの瞬間のために、あの日の僕は石を拾って、伊澄と巡り会ったのだ。
彼女にもお礼を言わないと……。そう考えて、伊澄と気まずい状態になっていることに思い至った。
どうにかして伊澄とちゃんと話し合いたい。また来週、彼女は公園に来てくれるだろうか。
結局、夜にムードのある場所で……というアドバイスは無駄になってしまったけど、ちゃんと告白して付き合うことになりました。きちんとそう報告して、お礼を言おう。