君と僕のキセキ
「もう体調は良くなったの?」
母が心配そうに、トーストをかじっていた私を見る。
「うん。バッチリ」
もともと体調なんて悪くなかったから、良くなったも何もないのだが。上手く笑えていただろうか。後悔を背負ったまま、私は学校へ向かう。
教室では授業が行われていて、生徒はテストに向けて必死に勉強している。
私の机には、昨日配られたであろうプリントが無造作に突っ込まれていた。いったいどれくらいの人が、私が昨日休んでいたことに気づいていただろうか。
私がいなくても、世界は正常に動く。そんな当たり前のことを、改めて思い知らされる。
昼休み、愛香(あいか)たちは私に目もくれず、三人で集まってお弁当を食べ始めた。
そんな彼女たちを横目に、私は教室を出て行く。
学校の校門を出て、道路を渡った先にある星野公園。この場所で昼休みを過ごすようになってから、すでに二ヶ月以上が経過していた。入ってすぐの場所にある、いつものベンチに腰を下ろす。
雲が空を覆っていて、太陽が隠れてしまっていた。かなり厚着をしているが、冬の寒さは容赦なく染み込んでくる。それでも、教室で一人でいるよりはこっちの方が気楽だった。
……宗平はどうするのだろうか。
今日は、彼が明李さんに告白をするはずの日だ。
昨日、私は彼に酷いことを言ってしまった。その結果、未来が変わってしまうかもしれない。
彼の選択次第で、もしかすると私は――。