君と僕のキセキ

 先輩は、私が告白をしたあとも、以前と変わらぬ態度で接してくれてた。そのことがとてもありがたかった。



 ある日の勤務後、先輩とバックヤードで雑談に花を咲かせていた。

「そういえば先輩、このキーホルダー褒めてくれましたよね」

 バッグにつけている星型のキーホルダーを手に取って言った。

 私が告白する少し前のことだ。とても嬉しかったことを覚えている。



「え? ああ、お洒落だなぁってずっと前から思ってて」

「実はこれ、私が作ったんです」



「へぇ。普通に売られてるやつみたい」驚いたように目を見開いて、先輩が言った。「っていっても、僕はあんまりアクセサリーは見たことないけど」



「実は私、デザイナーになりたいんです」

 話をちゃんと聞いてくれるから、まだ親にも言っていない私の夢をこぼしてしまう。



「デザイナーか。いいんじゃない?」

「笑ったりしないんですか?」

 愚問だった。先輩は、他人のことを笑ったりしない人だ。ずっと見ていたのだから、それくらいはわかっている。
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