君と僕のキセキ
30.勇気の贈り物
彼女に、何を贈ればいいだろうか。
ここで言う〝彼女〟とは、三人称を示す代名詞であって、交際している恋人という意味ではない。残念ながら。
俺には、片想いをしている相手がいる。彼女とはバイト先の書店で知り合った。
三か月くらい前に新しく入ってきた、高校生の女の子。真面目で、仕事を覚えるのが早かった。
仕事ができるだけでなく、きっちりと自分の意見を言うことができる。なんとなく周りに合わせてしまう俺からすれば、羨ましく思うと同時に眩しい存在だった。
厳しい店長も、彼女のことを認めていた。それよりも、店長はいい加減、俺のことをソウちゃんって呼ぶのやめてほしい。
一か月以上前から、彼女をクリスマスにデートに誘うことを決めていた。しかし、勇気が出せないままずるずると時は過ぎ去り、気づけばクリスマスまで一週間を切っていた。
プレゼントを先に買ってしまえば、思い切ってデートに誘えるのではないだろうか。そんな漠然とした希望的観測で、俺はプレゼントを購入しようとしていた。
彼女に恋人がいないことは知っている。しかし、すでに他の誰かと約束をしてしまったかもしれない。魅力的な彼女のことだ。十分に可能性はある。