君と僕のキセキ
大学の五限の講義をサボってやってきた隣町のショッピングモール。その広場には、大きなクリスマスツリーが設置されていた。これ見よがしにちかちか光る電飾が、俺にプレッシャーをかける。
県内最大級なだけあって、様々な種類の店が立ち並んでいる。
彼女へのプレゼントを探すうちに、モール内を一周しようとしていた。良さそうな店は何件か見つけたものの、商品までは見れていない。
プレゼント選びに向いていそうな雑貨屋の、パステルカラーを中心とした装飾やファンシーな雰囲気が、男性一人での入店を躊躇わせるのだ。
このままだと、閉店までモール内を巡回しているだけで終わってしまいそうだ。
きっと俺なんて、ただの先輩としか見られていない。さっさと諦めた方がいい。彼女に喜ばれそうなプレゼントが見つからないのだって、きっとそういうことだ。
そんなネガティブな思考に支配されながらも、俺は望みを捨てきれないでいた。
買うものがある程度決まっていれば、少しは入りやすくなるだろうか。
彼女の好きなものといえば、漫画、猫、オレンジジュース……。それに……星。
彼女は、よく空を見上げている。そのときの、彼女の切なそうな表情が脳裏に浮かんだ。
次の瞬間、俺は視界の隅に星を捉えた。
「あっ!」
たった今すれ違った女性が、俺の声に反応して振り向く。目元の涼し気な、綺麗な人だった。三十歳くらいだろうか。
その女性の持つバッグには、星のキーホルダーがついていた。俺が思わず声を上げてしまったのは、そのキーホルダーが彼女のイメージにぴったりだったからだ。
彼女が通学用の鞄にそれを付けている風景が、ありありと浮かぶ。