君と僕のキセキ

「手作り……ってことですか?」

「そう。このあと、ちょっと時間ある? 見てもらいたいものがあって」

 予想外の展開になってしまった。





 上品な雰囲気のカフェで、俺はさっき会ったばかりの女性と向かい合って座っていた。

「さて、話を整理しましょう」

「はぁ」



「あなたは、好きな人がいて、その人に渡すプレゼントを探している」

「そうです」

 改めて他人の口から言われると恥ずかしい。



「けれど、適したものが見つからなくて困っていた。そんなときに見つけたのが、このキーホルダーってわけね」

 目の前の女性は、自らのバッグに付けられていたキーホルダーを外して、テーブルの上に乗せた。



「はい。うまく言えないんですけど、そのキーホルダー、彼女にとても良く似合う気がするんです」

「なるほどね。それじゃあ、これを見てもらおうかな」



 女性はそう言いながら、バッグから縦に長い箱を取り出した。

 キーホルダーの隣に置いて、ふたを開く。



「これは……」

 箱の中から現れたのは、同じように星の形をしたネックレスだった。星のサイズは少しだけ小さい。



「さっきチラッと言ったけど、私は自分でアクセサリーを作ってるの。『COME TRUE』っていうブランド」

 たしか〝叶う〟って意味だったよな。

「で、これは、今度出す新作のネックレス」



「すごく、綺麗です」

 そんなありきたりな言葉しか出てこなかった。

 でも、俺に見せたのはなぜだろうか。ただの自慢だとは思えない。
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