君と僕のキセキ
〈ここ、学校の近くの公園なんですよ。昼休みなので、ここでお弁当を食べようと思って。そろそろ授業が始まってしまうので、戻らなければいけません〉
どうやら、学校に行っていないというわけではないらしい。だが、女子高生が一人、公園で昼食を食べているというのは、少し不自然なように思った。
「そうですか。……今日は、お話しできて楽しかったです」
少しためらいがちに付け加えたひと言は、彼女を困らせていないだろうか。
〈私も、まあまあ楽しかったです〉
まあまあ……か。
「あの……明日も、同じ時間に試してみませんか?」
伊澄との関係が今日だけで終わってしまうのが惜しかったし、この不思議な現象自体にも興味があった。
〈はい。そうしましょう。それでは失礼します〉
それからすぐに、彼女と僕をつないでいたものは光を失って、ただの白い石となった。伊澄がベンチから離れたのだろう。
この不思議な現象は、今日だから起きたことなのだろうか。
それとも、場所の条件さえ揃っていれば、明日も明後日も、時間に関係なく起きる現象なのだろうか。
できれば後者であってほしい。そう思っていたことに、自分でも驚いていた。