君と僕のキセキ
「連絡先、交換しなきゃまた会うこともできないでしょ」
「ああ、そうですね」
言われて、慌てて僕もポケットからスマホを取り出した。
スマホを操作しながら、彼女が綺麗な女性だということを思い出した。首から上が熱を帯びるのを感じる。そんな中、平静を装って彼女と連絡先を交換した。
交換した連絡先の名前の欄は、朽名明李となっていた。そこで初めて、僕は彼女の名前を知った。
「明日のお昼くらいまでには読み終わるはずだから、そしたら連絡するね」
彼女はそう言うと、慣れた手つきで平台から本を取り、レジへと向かった。かなり分厚い本のはずだが、本当に一日で読めるのだろうか……。じゃなくて、お金!
財布をバッグから引っ張り出しながら、急いで彼女のあとを追いかけた。
「あの、お金払います! 最終的に僕が所持することになるんで」
「いや、いいっていいって。私が先に読むんだし」
「それはさすがに申し訳ないです」
「ああ、でも今月地味にピンチだから半分出してもらおうかな」
彼女は、苦笑いしてそう言った。
その後、簡単な自己紹介をして明李さんと別れた。彼女は経済学部で、学年は僕の一つ上だということがわかった。