君と僕のキセキ
流れ星――だろうか? 鮮やかな光の軌跡を描きながら、それは落ちていく。
あまりの美しさに、口をぽっかり開けて見惚れていた。
そうだ、願い事!
流れ星は普通、一瞬で消えてしまうはずだ。なのに、今見ているそれは、もう三秒以上光を放ち続けている。
両手を合わせる。志望する大学に合格できますように。心の中で、そう三回唱えた。
流れ星に祈れば願いが叶うなんて、僕も信じているわけではないけれど――。
もしかすると、本当にそんな力を秘めているんじゃないかってくらい、その光は美しかった。
もしくは、根拠もない非科学的な何かに頼ってしまうくらい、受験競争に対して疲れていたのかもしれない。
僕の祈りが終わっても、まだ光は消えていなかった。
圧倒的な光量。辺りが暗かったからという理由もあるだろうが、それを加味しても眩しい。
僕は目を細めた。そして、意外と距離が近いことに気付く。
あれは本当に流れ星なのだろうか。今までに何度か、流星群を観測したことはあったが、これだけ近くで見たのは初めてだった。発光時間も明らかに長い。
流れ星は基本的に、地表に到達する前に燃え尽きてしまうはずである。しかし、サイズが大きければ隕石として地球に落ちて来るという。
あの光は隕石なのだろうか。そうだとすれば、危険かもしれない。
しかし僕の中では、危機感よりも綺麗なものを見ていたいという気持ちの方が大きかった。
流れ星か隕石か、どちらでもない別の何かなのか僕にはわからなかったが、〝それ〟は謎の光を放ったまま、地面に向かって落下しているようだった。