君と僕のキセキ
その眩さにもある程度目が慣れてきて、距離感も把握できた。かなり近いものの、僕に向かって落ちてきているわけではなさそうだ。つまり、衝突する危険はない。もちろん、落ちた瞬間に爆発する化学兵器などであれば話は別だが。
やがて〝それ〟は、大きな樹木の陰に消えていった。
十メートルは超えるだろうという高さのその樹木は、近くの神社に生えているものだった。
神社はどこにでもあるような普通のもので、僕にとっては正月に初詣に行く程度のものだったが、場所はわかる。今いる場所からそれほど遠くない。
――あの謎の光の元へ、行かなくてはならない。
なぜか、そう感じた。
いつもならば、得体の知れない何かに対して慎重になるところだったが、深夜に外出しているという状況が好奇心を倍増させているようだった。
家とは逆方向にある神社に向かって、僕は迷いなく足を踏み出した。
容赦なく襲い来る寒さも、こんな時間に外にいることに対する懸念も忘れて、いつの間にか駆け足になっていた。運動不足ということもあって息は切れていたが、足を止める気にはならなかった。
このとき、なぜ神社に向かったのかと問われても、明確な理由を答えられない。もしかすると僕は、何か不思議な力に突き動かされていたのかもしれなかった。