眠れぬ夜に
君への気持ちが、
君の事が…
「…好きだよ…」
「…うん。」
僕は一瞬、止まってしまっていた。
彼女からの返答があまりに嬉し過ぎて…
スグに理解出来なくて…信じられなくて…
僕の肩にもたれて掛かっていた彼女の目線は、橋のイルミネーションでは無く、恥ずかしそうに俯き加減で、握った僕達の手をみつめてた。
シン…と静かな車内、僕は彼女じゃなくて明石大橋のイルミネーションの方を向いてた。
緊張して、恥ずかしくて、照れ臭くて、心臓がバクバクして、僕は彼女の方を見る事が出来なかった。
言わなきゃ
だけど…言葉が続かない
伝えたい言葉はそれだけじゃない
君への気持ちは
言葉が出ない…
彼女は待ってくれてる…多分。
心臓がバクバクする…苦しい。
そんな沈黙の中、
彼女は、繋いでいただけだった手を
指を絡ませる様に、繋ぎ直してくれた。
情け無い僕の背中を押してくれる様に…
そして僕の方に向き直って、真っ直ぐ、僕の目を見つめてくれた、まるで
言えるまで待ってるよ…
そんな風に、少し寂しそうな、不安そうな、優しい顔で
きっと、こういう時に言うのだろう
『あの時、間違い無く
僕はもう一度、君に恋をした』
僕は小さく深呼吸してから、彼女の方に向き直った。
彼女の目を見つめ返して、改めて気持ちを伝え直した。
好きだよ…凄く…
大好きだよ…
上手く話せなくて、詰まったりしたけど、
君は僕の一言一言に、「うん…」って相槌を打ちながら、気持ちを伝え終わるまで、ずっと目を逸らさずに居てくれた。
「…僕と付き合って下さい。」
最後の言葉に、君は
「ありがとう、嬉しい…
これから、よろしくお願いします。
へへへ。」
耳まで真っ赤にして、照れ笑いする君が本当に可愛いくて、その笑顔に胸がキュッとなった。
さっきまで、怖くて、不安でドキドキしてた小心者の僕なのに、君からの僕に向けてくれた、そんな笑顔を見たら誰にも渡したく無くて、取られたくなくて、離れたく無くて、君を抱きしめた。
だけどやっぱりダメな僕は、気持ちばっかり先行しちゃって、車内だって事忘れてて。
へんな体勢で、抱きしめるってよりは、しがみついちゃって、彼女に驚かれて「きゃっ」なんて言われて。
ホントかっこ悪い…
そんな僕の事を
「もぉ~」
って言いながら、背中をぽんぽんと叩いてくれる
慌てて離れて
「ごめん…」
って言う僕に、
「大丈夫だよ」
って、抱きしめ返してくれた。
そんな彼女の優しさが、嬉しくて、大好きで。
自分の思いを伝えた日、
彼女に思いが届いた日、
二人の始めてのキスの日。