眠れぬ夜に

   君への気持ちが、
    君の事が…
















「…好きだよ…」




















「…うん。」


















僕は一瞬、止まってしまっていた。

彼女からの返答があまりに嬉し過ぎて…
スグに理解出来なくて…信じられなくて…






僕の肩にもたれて掛かっていた彼女の目線は、橋のイルミネーションでは無く、恥ずかしそうに俯き加減で、握った僕達の手をみつめてた。





シン…と静かな車内、僕は彼女じゃなくて明石大橋のイルミネーションの方を向いてた。
緊張して、恥ずかしくて、照れ臭くて、心臓がバクバクして、僕は彼女の方を見る事が出来なかった。







言わなきゃ
だけど…言葉が続かない


伝えたい言葉はそれだけじゃない
君への気持ちは


言葉が出ない…
彼女は待ってくれてる…多分。


心臓がバクバクする…苦しい。







そんな沈黙の中、
彼女は、繋いでいただけだった手を
指を絡ませる様に、繋ぎ直してくれた。




情け無い僕の背中を押してくれる様に…




そして僕の方に向き直って、真っ直ぐ、僕の目を見つめてくれた、まるで

言えるまで待ってるよ…

そんな風に、少し寂しそうな、不安そうな、優しい顔で







きっと、こういう時に言うのだろう







『あの時、間違い無く
僕はもう一度、君に恋をした』












僕は小さく深呼吸してから、彼女の方に向き直った。
彼女の目を見つめ返して、改めて気持ちを伝え直した。

好きだよ…凄く…
大好きだよ…

上手く話せなくて、詰まったりしたけど、
君は僕の一言一言に、「うん…」って相槌を打ちながら、気持ちを伝え終わるまで、ずっと目を逸らさずに居てくれた。



「…僕と付き合って下さい。」
最後の言葉に、君は


「ありがとう、嬉しい…
これから、よろしくお願いします。
へへへ。」




耳まで真っ赤にして、照れ笑いする君が本当に可愛いくて、その笑顔に胸がキュッとなった。


さっきまで、怖くて、不安でドキドキしてた小心者の僕なのに、君からの僕に向けてくれた、そんな笑顔を見たら誰にも渡したく無くて、取られたくなくて、離れたく無くて、君を抱きしめた。


だけどやっぱりダメな僕は、気持ちばっかり先行しちゃって、車内だって事忘れてて。
へんな体勢で、抱きしめるってよりは、しがみついちゃって、彼女に驚かれて「きゃっ」なんて言われて。


ホントかっこ悪い…


そんな僕の事を
「もぉ~」
って言いながら、背中をぽんぽんと叩いてくれる

慌てて離れて
「ごめん…」
って言う僕に、

「大丈夫だよ」
って、抱きしめ返してくれた。


そんな彼女の優しさが、嬉しくて、大好きで。








自分の思いを伝えた日、

彼女に思いが届いた日、

二人の始めてのキスの日。




< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop