【短】なんて恋してしまったんだろう
「…に」
「…ん?」
「薫くんの、ノートに!」
なんで?とか、どうして?と聞く前に、そう言って顔を赤らめる彼女が可愛すぎて、くらくらとめまいがした。
「それにしても、なんでノート?」
「だって……だって、いつも薫くんと一緒にいるし…薫くんの気持ちを一心に受け止めてるから…」
あぁ、なんて彼女はこんなにも、可愛いのか…。
俺は、一度だけ天を仰いでから、彼女の柔らかな髪を梳いて、囁いた。
「ノートなんかよりも、京香の方が大事だよ。話せない時間、どうかなるかと思った」
「薫くん…」
「京香は分かってないよ…俺がどれだけ京香のことを好きか…」
「…っ。もう一回言って?」
「好きだよ、好きだ。京香が俺をこんな風に変えたんだから…責任取って…?」
ちゅ、と額にキスをすると、彼女は驚いてバッと顔を上げた。
それをチャンスとばかりに、俺はそのまま彼女の口唇を奪う。
甘い、甘い、今まで知らなかった、…キス。
この一年で何度もしたことはあったけれど、今日のキスは心が蕩けてしまいそうなほど甘く感じた。