【短】なんて恋してしまったんだろう
そう思ったのと、チャイムが鳴ったのは奇跡的にも同じだった。

かたん、と席を立って教室を出ようとすると、それを狙っていたかのように親友の崇矢が声を掛けてきた。
最近、一つ上の先輩と付き合い始めて、デレってるやつに、今此処で声を掛けられるのは、ちょっと遠慮願いたかったのだけれど、無下にするわけにもいかず、視線だけで「なんだ?」という態度を取った。


「そんな顔すんなって。すぐに済むから。…で、なんかあったのか?」


移動教室の時、前の時間にそこで授業をしていた崇矢がこそこそと俺の顔を見つめながら、耳打ちしてくる。


「…どうして?」


そう聞き返す。
すると、俺の少し前に教室へと入っていた彼女を指して、崇矢は言う。

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