【短】なんて恋してしまったんだろう
「京香ちゃんの態度があからさまに違うからだよ。まさか、お前泣かせた?」

「…泣かせた…?」


崇矢の言葉を繰り返すると、はぁ…と短くため息を吐かれた。


「その様子じゃ、ほんとに知らないみたいだな…京香ちゃん多分一晩中泣いてたんじゃないかな…。顔色マジでやばいくらい悪いし…」


そう、崇矢に言われて、ガツン!と頭を殴られた気がした。

確かに、あの日…彼女からいくつか質問を受けていたような気がする。
でも、俺はノートに齧り付いたままで、彼女の方を見ることもしなかった。
なんて、最悪な態度を取ってしまったんだろうか…。


「まぁ…あとは、自分でなんとかするんだな。大丈夫。京香ちゃんお前と違って心広いから、許してくれるよ」


ぽんっ


そう言った後で、崇矢は群がる女子の間を上手い具合に縫って行ってしまった。
あんな器用さがあれば、俺も彼女を泣かせることなく、いられたんだろうか…。

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