【短】なんて恋してしまったんだろう
「そんなに泣かせた後で、許してくれるなんて、都合良すぎだろ…」


俺はまたガシガシと頭を掻いてから、何度めかのため息を吐いて教室に入り込んだ。


彼女は、男女問わず人気がある。
だから、俺が彼女を泣かせたと知れ渡ったら、それを機に奪おうとするやつが現れるんじゃないかと思った。
そうしたら、居ても立ってもいられなくて。

「ごめん、そこ代わってもらってもいい?」


と、なんとか彼女の近くの席を勝取って、ルーズリーフの端に「話だけでもさせてください」と走り書きをしたやつを、小さく丸めて彼女の方へとぽんと投げた。


彼女は、それを受け取ってからカサッと開くと、すぐにペンケースの中に仕舞い込んでしまった。


これは、最悪このまま自然消滅してしまう確率もあるかもしれない…。
俺は、それだけは絶対避けたいと思った。
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