誰にも届かぬ歌を
僕は今日の授業を終え、憂うつな気持ちになりながら、1人で帰路についていた。聖羅とは同じ学年だがクラスは違う。聖羅は部活に入っているが、僕は入っていない。
「…ただいま」
家に帰り、部屋に入ると家族から鋭い視線が僕に突き刺さった。
どうして帰ってきたの?そのまま帰ってこなければ良いのに、と皆が目でそう言っているように見えた。
僕は無言で自分の部屋に入った。カバンを床に置くと、ベッドに倒れ込んだ。
…どうして僕だけ?どうして、僕だけが…。
自然と涙が溢れてくる。僕は声を上げずに泣いた。…声を上げて泣いたら怒られそうだったから。
誰か助けてよ…。