不思議の国のティーパーティー
アオイは「ふーっ」と深く息を吐いた。
「分かりました。それではお茶を入れますね」
いつも通りの優しい声がまたあたしの涙腺を崩していった。
人肌より少しだけ温かいアールグレイのミルクティが今は心に冷たく刺さる。
街で茶葉屋を営んでいたこと。
毎日のように開催したお茶会。
突然現われた魔法使いのこと。
そして、魔法使いの呪い。
時折悲しく笑うアオイの顔が痛くって、まともに目を見ることが出来なかった。
「時を止められた時は何とも思わなかったんです。実感がなかったのもあるかと思うのですが。
殺されたわけじゃない。何かが不自由になったわけじゃない。お茶会が出来ればそれでいいって。
わたしは変わらず仲間とお茶会を開き続けました。でも、仲間は時が経つにつれて一人、また一人と来なくなっていきました」