不思議の国のティーパーティー



「・・・どうして?」


続きを聞くのが怖い気持ちもあったが、黙って聞いていられなくて、あたしはつい口を挟んだ。



「人は成長すると変わるんです。お嬢様も小さい頃は大好きだったシロツメクサの花畑も、もう行かなくなったでしょう?」

「そうね。たまに、また行きたいなと思うことはあるけど」


「それと同じです。周りばかり大人になり、自立する人もいれば、家庭を持つ人もいる。たまに思い出して、お茶会ではなく、お茶会を懐かしむことを、楽しむようになった。

また行きたいと思っても実際に来てくれる人はほとんどいない。来てくれたとしても、おじいさんおばあさんになった仲間たち。それでも楽しいのだけど、羨ましくて、まだ子どもの自分が惨めで、悔しかった」




さっきまで湯気を立てていた紅茶が、急に冷め切ったような気がした。



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