不思議の国のティーパーティー



真っ白が広がる。



よく見ると四葉のクローバーも混じっていて、それを不意に見つけるのが好きだった。



桜が散ると、シロツメクサが満開になる。


昔アオイがそう教えてくれた。



寒くもなく、暑くもなく、暖かい陽気の一番過ごしやすい、一番好きな季節。




あたしとアオイの、特別な場所。




辺り一面に広がるシロツメクサが、まるで鳥が駆け抜けるように、順に風に靡く。



「すごい久しぶりだわ。どうしてずっとの間来なかったのかしら」



太陽の下、両腕を大きく広げ、空いっぱいに挨拶をする。



「まだ花かんむりは作れるかしら」



シロツメクサを一つ、二つ摘み、振り返るとアオイはふふっと声に出して笑ってみせた。




「お嬢様は昔も作れていませんでしたよ」



「失礼ね。教えてくれたのはアオイよ。アオイの指導が悪かったのでは?」



< 51 / 90 >

この作品をシェア

pagetop