不思議の国のティーパーティー
真っ白が広がる。
よく見ると四葉のクローバーも混じっていて、それを不意に見つけるのが好きだった。
桜が散ると、シロツメクサが満開になる。
昔アオイがそう教えてくれた。
寒くもなく、暑くもなく、暖かい陽気の一番過ごしやすい、一番好きな季節。
あたしとアオイの、特別な場所。
辺り一面に広がるシロツメクサが、まるで鳥が駆け抜けるように、順に風に靡く。
「すごい久しぶりだわ。どうしてずっとの間来なかったのかしら」
太陽の下、両腕を大きく広げ、空いっぱいに挨拶をする。
「まだ花かんむりは作れるかしら」
シロツメクサを一つ、二つ摘み、振り返るとアオイはふふっと声に出して笑ってみせた。
「お嬢様は昔も作れていませんでしたよ」
「失礼ね。教えてくれたのはアオイよ。アオイの指導が悪かったのでは?」