不思議の国のティーパーティー
「お嬢様も言うようになりましたね」
アオイが笑顔でいることが嬉しい。
今までも笑顔は絶やさず接してくれたけど、それはどこか淋しげで、過去を知った今、そう思ってしまうだけかもしれないけれど。
今日はなんだか、アオイを包んでいた不の何かが、取り払われていたような気がした。
「あーんやっぱりうまく出来ないわ。ボロボロの花かんむり」
「不器用なのですよ、お嬢様は。貸してください」
言ってあたしから花かんむりの形にもなっていないシロツメクサを取り上げる。
サラサラの黒髪の隙間から見える大きな瞳。
なんでもソツなくこなす得意げな、この横顔が好きだった。
「昔に戻るのも、なんだか良いものね」
純粋にそう思ってしまった気持ち。
声になってから気付いた。