不思議の国のティーパーティー


テッドがお茶を一口飲んで、立ちあがった。



「そんなこと、できるの?」

「できるかは分からないが、アテはある」

「あの爺さんか」



マリがまた木に登る。



「だけど、僕らはただでは動かないよ、アリス」


突然声色が変わる。

低く、普段聞かないテッドの声に、ゴクリと唾を飲んだ。


「な、何をしたらいい?」




「また、森のお茶会に参加してくれ。最高の茶葉屋と一緒に」




涙が出そうになった。

アオイの過去を知ってから、突然涙脆くなった気がする。


みんなの優しさに気付けるようになったんだと思う。



今までワガママだけのお姫様は卒業した。



「ありがとう、テッド」



ティーポットの中で眠っていたねずみのソラが、突然、勢いよくあたしの肩へ登った。



「そうと決まれば大木の麓へ行こう!」



「起きていたのかソラ」




「途中から。面白い話をしていたから」




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