不思議の国のティーパーティー
「もちろんそんな薬はない。だが、どうしてもこの美しさを永遠に保ちたいと、彼女は強く願った。
若返る薬、老いを遅らせる薬、薬剤の調合と魔法で、たくさんの薬を試した。だが、見た目は誤魔化せても、命を伸ばすことは出来なかった。魔女は最後まで不老不死を願いながら死んでいった」
何ら動きのない、単調な声のトーン。
だが、一瞬眉を下げ、悲しそうな表情が見えた。
「……じゃあ、お爺さんはどうして400年も生きていられたんですか?」
「魔女の命を、もらったのさ」
「命を、もらう?」
「彼女は狂っていた。自分の美しさに酔いしれて、何も見えていない、可哀想な魔女だった。わしは彼女をどうにかしてやりたかったんだろうな。
彼女の残っていた寿命をちょっとばかりいただいただけ。
魔女の寿命はだいたい300年。もらった分、わしが生きられているだけ。
わしの時が止まったわけでもなければ、不老不死でもない。残念ながら、あの青年とは違う。あれは強い魔法だから」