不思議の国のティーパーティー



物を浮かせる魔法を掛けているはずなのに、微動だにしない本を見て、

「気持ちが足りないんじゃないの?」

とネズミのソラ。



ろうそくに火を付ける魔法を掛けているはずなのに、火は付かずろうだけが溶けてしまっているのを見て、

「デタラメだな」

と五月うさぎ。



「そもそも魔法が禁止された時代に王室の娘が魔法を覚えるってどうなんだ?」

とビスケットで出来たドミノを崩しながら、マリがニヤリと笑う。



「うるさいわね!集中させてちょうだい!」



マリに一喝したところで、少しだけ浮いていたビスケットが、力尽きて皿に落ちた。



「お嬢さんには魔力が足りん…」



ため息混じりにお爺さんが言う。



「魔力って上げられるものなんですか?」



「人それぞれだが、誰しも魔力は秘めている。アオイ・マーチンを助けるなら、全ての魔力を引き出す必要があるだろう」



お爺さんの言っていることはいつも難しかった。


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