不思議の国のティーパーティー
「お嬢様!帰りますよ!」
目の前にはやっぱり鬼の形相をしたアオイ。
その後ろには、やるせない顔をしたテッド。
アオイがテッドの元を訪れて、仕方なくここへ案内したことが見て取れた。
「こんな森の奥。お茶会より危険です」
アオイがあたしの腕を掴む。
まるであの日、誕生日会を抜け出した日のよう。
だけど今は自分のためじゃない。
初めて誰かのために、何かをしたいと思った。
初めて誰かのために、変わりたいと思った。
あたしは声に力を込めた。
「違うの!アオイの呪いを解くために、お爺さんに魔法を教えてもらっていたの!」
「お爺さん?」
アオイの眉間にシワが寄る。
「アオイ・マーチン、久しぶりだのう」
お爺さんがゆっくりと椅子から立ちあがり、杖をついた。