魔法学園の落ちこぼれは卒業できるのか
「安心してよジゼル。留年する人なんて今までいなかったらしいわよ?」

「そりゃあね、魔法が使えたらみんな卒業できますよ。使えたらね!!」

完全実力主義のここではクラス分けも実力によって行われている。A~Dまでの4クラス、A組が一番優秀なクラスでD組が落ちこぼれ。私も勿論D組だけど、ほかのD組の人は落ちこぼれといってもシュヴァリエ魔法学園は本来優秀な人しかいない。そのなかですこし実力が低いだけなのだ。私とは格が違う。

「アデリアはA組だもん」

「確かに私はA組だけど・・・いいことばかりじゃないわよ?A組は」

そういってアデリアは苦笑した。
アデリア・シャレット――デュノア王国の伯爵家の娘でAクラスに所属している。
赤みを帯びた茶髪と同じ色の瞳はシャレット伯爵家の特徴らしい。一族みんなが同じ色の髪なのだと、以前アデリアが言っていた。

アデリアは私とは違って実力も身分もある人。だけど全然ひねくれたところはなく、魔力がない私のことも見下さず対等に接してくれている。
アデリアは私のこの学園での唯一の友人。彼女がいなければこの1週間生きてこれなかっただろう。

初等部からここで生活しているアデリアは沢山のことを知っている。私にとっては友人であり、先輩でもある。


「じゃあ私の教室ここだから。また昼休みね」

「うん」

アデリアが私に別れを告げて教室に入っていく。

「アデリアさん、おはようございます」

「アデリア様、今日もおきれいですね」
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