魔法学園の落ちこぼれは卒業できるのか
「おはようございます、みなさん」

教室に入った途端アデリアはクラスメイトに囲まれる。
まだはっきりとは解明されていないが、魔力は遺伝も関係しているらしく貴族には魔力が強い人が多い。その結果上のクラスにいくほど貴族の子女が多くなり、教室でも社交界と同じような状態になる。

毎日媚びを売ってくる人ばかりでいやになるとアデリアはよく部屋で嘆いている。

表向きだけの貴族の付き合いは大変そうだ。


(さあ、今日もがんばりますか)

気合いを入れて自分の教室に入る。


「・・・」

「・・・」

クラスメイトはこちらを一瞬見ただけで何も言わない。
そりゃそうだ。だって私の媚びを売っても価値はないのだから。

でもこのクラスは私だけに挨拶をしないのではない。
この学園ではいい成績をとれば次の学年で上のクラスに入れる。だからみんなひしいになって勉強しているし、クラスメイトはライバルなのだ。

休み時間も延々と勉強をし、隙あらばライバルを蹴落とそうとする彼らには会話は勿論、挨拶さえない。

A組の媚びを売るだけの空間もいやだけど、この殺伐とした息苦しい教室に一日閉じ込められるのもつらい。


(ああ、教会に帰りたい。イザヤやシスターと話したい・・・)
< 8 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop