銘柄

「え…、…何で！？」



なんで、って。

聞かれると答えに詰まるけれど、とにかく今のお兄さんと一緒に居て"落ち着く"ことは出来ないから。





でもそれを口に出して言うほど素直でもなければ、無神経でもなくて。


こういうところだけは一丁前な対応をしたがる自分が居て、少し後ろめたい気がする。





だから、願わくはこれで最後になりますように。


「――…お兄さんはさ、なんで女の人の話をするとき、そんなに軽々しい眼をしてるの？」




私が一番の不審さを感じたのは、その点に尽きるから。













「…、……え？」

「自分でも、気付いてなかったんだ？」




まだ出逢ってから日は浅いけれど。

別にお兄さんのこと、嫌いなんかじゃなかった。


寧ろ、―――……






「そういう"女"を軽蔑した眼、やめたほうがいいんじゃない？少なくとも私は、良い気分はしなかったから」






でも、そういうところは好きになれない。