銘柄
――――――――――――…
「お姉さんさ」
「ん、なに?」
「……道外れた奴ってどう思う?」
ひらり、風に遊ばれるように青々と茂った葉が一枚滑り落ちてくる。
それをじっと見つめたまま、薄く唇を開いた私は。
「――…その質問ってなんか変じゃない?」
「え?」
「だって、」
そこで句切り隣に腰掛ける男を見据えると、
「"道が外れた"って、自分の中で決めていた道から逸れたときとかに使う言葉じゃない?少なくとも私が他人に関して断言する資格は無いし」
「……組とか、族とかの人間も?」
「その人が満足してるなら、それで良いと思うけど」
なんか可笑しいこと言った?
言外にそう匂わせる具合に首を傾げていれば、暫く目を丸くしていた彼が再び言葉を落とし始めて。
「でも、世間一般ではそうもいかないだろ」
「…、……やけに突っ込むね。なに、お兄さんなんかあんの?」
「いや……別に」