銘柄
―――――――――――…
「この写真、アンタだよねぇ?」
「――…ッ、」
鈍い衝撃が身体中を走り抜けた。
ドン!地面に勢い良く押し倒された私は、辺りの暗闇から浮かび上がる一枚の写真に息を呑んだ。
「(……お兄さん、と私…)」
奇しくも連れて来られたのは何時も通っていた公園で。
こんな夜中だし、勿論お兄さんが居ることは無かった。
「ねえ、アンタこの男が誰か分かってんの?」
「………、」
知らない。知らないよ。
だって、お兄さんの名前は秘密なんでしょう?
「"聖龍"のナンバー2をアンタみたいな女が独り占めして良い訳ないじゃん!!」
「……ない」
「はァ?」
訝しげに眉根を寄せて此方を見据えるその子たちを見上げ、ハッキリと声を張り上げる。
「知らないって言ってんの!私は、"偶々《たまたま》公園に来る人"と話していただけ」
「そんな冗談通じると思って――」
「冗談なんかじゃない!私は、私は――その人の名前すら知らないんだから!」