銘柄
「なんで?」
「なんで、じゃない…!お兄さんなに、チャラ男さんですか!」
「チャラ男さん、って!お姉さんそれ狙って言ってる?」
「馬鹿にしてんの!?」
ぶんぶん勢いをつけて腕を振り回すも、何食わぬ顔で佇む彼は未だしっかりと私のそれを掴んでいて。
「………」
なんなのこれ、どうしよう。
しっかりと数秒の間、拘束された自らの腕を見つめてから。
正体不明の、ベンチに寝そべっていた就活に励むチャラ男のお兄さんを見上げてみる。
と、そのとき。
「あれ、お姉さんそれさー」
「え…?それってどれ?」
「もしかして、煙草だけ買ったのに袋貰ったパターン?」
パターン?いまの言い回しにそれって必要?
思わずそんな見当違いなことを考える私だったけれど、直ぐにハッとして袋へと視線を落とした。
「……貰っちゃったパターンっすね…」
「駄目じゃーん、環境破壊推進派?」
「いやいやそんな、まさか」