「君が好き」なんて言えないよ

陽菜side

***

「お母さん、今日学校休む」

「はあ? 何言ってんのよ。元気でしょ!?」

「体調悪いのー!」

「ひぃ、遅刻するよ」

「うるさい! 翔は黙ってて!」

だって…だって!!

今日は2月14日。

私だって女の子だもん。この日くらい頑張りたいじゃん!?
でも、うまくいかなくて……結局完成しなかった。
別に明日遅れて渡せればいいのかもしれないけど、周りのみんながあげてる中、私だけあげないのも変じゃない?

……別に、好きな人なんていないけどさ。

「……ちゃんと勉強するのよ」

「はーい」

ズル休み、しちゃいました。

とにかく今日中に完成させよう!

材料を揃えるために、近くのスーパーに買い物に出かけた。

えっと……チョコレート売り場は…

「陽菜ちゃん?」

聞きなれた声に振り返る。

「美咲さん!?」

優さんと買い物に来ていた美咲さんと会った。

「学校は?」

「休んじゃいました」

「体調悪いの?」

「いえ、元気です。ただ……」

美咲さんと優さんに事情を説明した。

「それなら、今から家に来ない? 一緒に作ろ!」

「え!? いいんですか?」

「優くんもいいよね?」

「うん」

こうして、美咲さんによるお菓子教室が開催された。
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