「君が好き」なんて言えないよ
***
「できた!」
「可愛い!」
美咲さんのおかげで、チョコシフォンケーキが完成した。
「本当にありがとうございました!」
「お役に立ててよかった! きっと彼も喜んでくれるよ!」
「え…」
私、誰に渡すかは言ってないけど……
まあ、いっか。
「そろそろお昼だね」
「陽菜ちゃんもお昼食べていきなよ」
「何から何まですみません」
「遠慮しないで。美咲と航と仲良くしてくれてるお礼だから」
そう言ってにっこりと笑う優さんが輝いてみえる。眩しい!
***
「もうこんな時間!? 長居してしまってすみません!」
「送っていくよ」
「ありがとうございます」
2人の優しさにすっかり甘えてしまった。
ほんっとに憧れる。幸せそうで羨ましい。
「あ、そうだ。陽菜ちゃんにアドバイスしてあげる」
「アドバイス、ですか?」
送ってもらう車の中で、美咲さんは私に耳打ちをした。
「え!? そんなこと……べ、別に好きとかじゃないので…」
「えーだって、一生懸命作ってたじゃん。学校まで休んだんでしょ?」
「そ、それは…」
「とりあえず、陽菜ちゃんの気持ち伝えよ?」
「はい」
……あれ? なんで私、こんなに緊張してるんだろう?