「君が好き」なんて言えないよ
「君が好き」なんて言えないよ

航side

☆☆☆

「暮沢さん」

「…水野。早かったね」

そう言って笑う暮沢さんの隣にそっと座った。

「どうしたの?」

オレの問いかけに彼女は紙袋を差し出した。

「これ、作ったの。受け取って…ください」

「ありがとう」

可愛くデコレーションされたシフォンケーキ。すごく美味しそうだ。

「実は…体調悪いのは嘘で、お菓子を作るために学校休んだの。どうしても今日中に渡したくて……」

「他の人にもあげたの?」

「……水野だけだよ」

その言葉に、オレの周りだけ時が止まった。

期待してもいいのかな?

「そっか。オレのためにありがとう」

「どういたしまして」

彼女の笑顔に何回落ちただろうか。


「あ、ちょっと待ってて」

オレは公園の近くのカフェに向かった。
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