ふたりきり宣言!「残業、休日出勤引き受けません」
「志田さん、大丈夫?自分の仕事が片付いて来たから手伝うよ?」


「ありがとうございます…」


「とりあえず、チョコでも食べて一息ついてから再開しよっか?」


西さんとはお互いに背中合わせの椅子。


クルリと私のデスクの方へと椅子を回転させ、マウス横に様々な種類のチョコを置く西さんに癒される。


チョコを置いた後にデスク上にある資料をパラパラとめくり、差し障りのないデータの処理を西さんは手作ってくれるらしい。


「今日はレストランも予約しちゃったから、何が何でも定時には終わらせるから。志賀さんもそのつもりで頑張ろ!」と私から奪った資料で顔を伏せて小声で話しかけてくる。


静かにコクン、と頷くと西さんは優しく微笑みを浮かべた。


「西ちゃん!志田さんの邪魔しないで!彼女は今日は残業決定に近いんだから!」


西さんとのやり取りが見つかり、部長からの野次が飛んできた。


今日はとてつもなく言葉がキツく感じる上に、表情も怖いのはやはり気の所為ではないらしい。


周りの皆も野次にビクッとするだけあって、いつもとは違う部長の鬼の形相に気付いたみたいだ。


「手伝ってあげようとしただけです。今日はホワイトデーですから、残業させたら可哀想じゃないですか?」


お構い無しにニコニコしながら返答する西さんに余計に血が上った部長は…

「仕事にホワイトデーなど関係ないわ!職場では色恋沙汰などの勝手な理由で残業出来ないとか言うのはおかしいでしょ?」

と言い放つ。
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