世界一幸せな国のある家族
不器用バレンタイン
ローナ編
ユ「ねぇねぇローナぁ、今日何日か知ってる?」
自室に遊びに来ていたユアンが後ろ向きに椅子に座りながら言う。
白金色の髪をふわふわと揺らしながら柔らかく話すその姿は、嫌味なほど様になっていた。
「ユアンそんなことも忘れたの?2月14日だけど」
私は作業する手を止めることなく返事する。
ユ「……そっかぁ、ありがと!」
なんだ、意識していたのは私だけなのか。
そこそこ年齢も重ねて自由に動けるようになったから、今世初のバレンタインのプレゼントを用意していたのに。
今ラッピングしている小さな箱を、そのまま投げつけてやろうかと思った。
それでも堪えてラッピングを続ける。
不器用な私には難しいものだ。
前世ではバレンタインなんて全く縁のないイベントだったので、本格的にプレゼントを用意するのは初めてのことだった。
大体、今はもう渡している予定だった。
夜中にこっそりと厨房を借り、朝までにラッピングも済ませてしまう予定だった。
それなのに、当日の昼になっても終わっていないなんて……!!